コウスケKosuke「WARNING」

過去の先駆者や表現者たちの存在があったからこそ、現在、私はこの様に作品を制作し、表現する事ができているのだと思います。ある時代の作品は、それ以前の作品や表現、またそれらの理解や発展、回帰によって形作られていますし、現在でも同じだと思います。特に現在においては、今日に至るまでに作られた素晴らしい作品や表現をはじめ、それらの作家たちから沢山の事を学ぶことができます。既存の表現を知ることは、重要だと私は考えています。

基本的に、私が学んだ作家たちを皆尊敬していますが、特にマン・レイやマリオ・ジャコメッリ、アンドレ・ケルテスに影響を受けました。彼らの作品から感じられる独特の空気や雰囲気に、私はとてつもなく引き込まれます。それに加えて、同じ世代の表現者たちの作品やアイデア、感覚、表現方法を学ぶ事も等しく重要だと感じています。ある表現から派生した表現、つまりそれらを如何に理解し、如何に独自の感覚や主観を加えていけるかが、現在私の目標とする所です。その中には、写真が本質的に持っている美しさや威厳、風格を損なってはいけないと考えています。

この作品において、多重露光の技法を使う事自体が重要なのではありません。多重露光そのものが目的ではなく、その結果どのようなイメージが生まれたのかということ、また自分自身の感覚、雰囲気、それらを主観的に加えることができることが、多重露光を用いる目的であると考えています。「WARNING」はフィルムで撮影したものを、暗室作業で気持ちを込めることで、ひとつの世界になるのだと思っています。